「杖を拾うのがこんなに大変だと思わなかった」そう言った父の横顔が寂しそうだった・・・。父は大腿骨骨折をしてから杖がないと歩くことができなくなった。歩けないだけではない。立ったりしゃがんだりの動作がとても厳しくなった。若かりし頃の父は足が早くスポーツ万能であった。そんな自分が歩行困難になるとは考えもしなかったと。
そういう身体になってしまった方が、倒れた杖を拾うことの大変さを父を通して初めて知った。ちょっと手を伸ばせば取れるのにこんな簡単な動作が大変だなんて・・・この時、杖を拾うのが困難に感じている方々のために滑り落ちにくい杖を作ろうと決心しました。
しかし、どんな素材に立て掛けても杖が滑り落ちにくくなる工夫をするのは簡単ではありませんでした。試行錯誤のようやく完成したのが日本の杖「とんぼ」でした。そしてお洒落を追求して作られたのが「さくら」です。